計画と目標設定
来年の売上目標を達成するには、見込み客が実際に何社必要なのか
正直な答えは勘ではなく算数です。平均受注額と受注率さえ分かれば、必要な見込み客の数は推測ではなく計算で決まります。
結論
売上目標を平均受注額で割ると、必要な新規受注件数が分かります。その件数を受注率で割ると、パイプラインに入れるべき有効商談の件数が分かります。そのうえで、案件の成約に要する期間と、実際に確保できるプロスペクティングの時間を踏まえて、その件数が現実的に達成可能かを検証してください。月あたりに必要な新規商談数が現在の活動量をはるかに超えるなら、変えるべきなのは努力量ではなく、目標そのもの、受注率、あるいはプロスペクティングの体制のいずれかです。
多くの売上目標は、パイプラインで実際に何が起きなければその数字に届かないのかを誰も逆算しないまま、「これだけ伸ばす」「この総額に届く」という単一の数字として設定されます。その結果、営業チームは現在の活動量がその目標に近いのかどうか分からないまま動き続け、多くの場合、手遅れになった年の後半でようやく足りていなかったことに気づきます。
この記事は、平均受注額、受注率、案件が成約に至るまでの典型的な期間という、自社の実際の数字を使って逆算する演習です。企業ごとの差が大きすぎて役に立たない業界ベンチマークからの借り物の公式ではありません。すでに手元にある、あるいはすぐに調べられる数字に算数を適用するだけです。
まずは達成すべき数字から始める
年間の売上目標を取り、有用であれば新規事業分と既存取引の継続分に分けてください。両者は必要とするパイプライン活動がまったく異なるためです。この記事では新規事業の部分を扱います。プロスペクティングの量に依存するのは、こちらの部分だからです。
計算例:売上目標から必要な受注件数へ
あくまで手法を示すための例として、ある会社が来年600万円ではなく、たとえば6,000万円の新規事業売上を必要としており、平均新規顧客受注額が150万円だとします。その場合、必要な新規受注件数は年間40件です(6,000万円÷150万円=40件)。実際の自社の平均受注額を当てはめれば、この数字はまったく変わります。重要なのは数字そのものではなく、この手法です。
必要な受注件数から必要な商談件数へ
必要な受注件数は、実際の受注率――有効商談のうち成約に至った割合――で割って初めて意味を持ちます。この数字が分からない場合は、直近12か月の真に有効な商談(単なる問い合わせではなく)を振り返り、そのうち何件が受注に至ったかを数えてください。例を続けると、この会社が有効商談4件に1件の割合で受注しているなら、40件の受注を得るには年間160件の有効商談が必要になります(40÷0.25=160件)。
受注率が想定以上に重要な理由
受注率はこの計算に対して不釣り合いに大きな影響を与えます。それは割り算であり、引き算ではないからです。先の例で受注率を4件に1件から3件に1件へ改善できれば、必要な商談数は160件から120件へと減り、同じ売上目標に対してプロスペクティングの労力を大きく減らせます。これははっきり言っておく価値があります。「あと何社見込み客が必要か」という問いへの正直な答えが、実は「転換率を改善すれば、追加は要らない」であることもあるのです。
営業サイクル全体に商談を分散させる
先の例の160件の有効商談は、一度にまとめて必要なわけではありません。自社の営業サイクルの長さを踏まえ、年間を通じて安定的にパイプラインへ流入し、12月に一気に集中するのではなく年間を通じて分散して受注へつながるようにする必要があります。有効商談から受注までの典型的なサイクルが四か月であれば、1月にパイプラインへ入った商談は4月から5月頃にしか成約せず、会社は最終四半期にまとめてではなく、初月から安定した月次の新規商談の流入が必要になります。
あくまで大まかな目安として、160件の商談を12か月に均等に分散すると、月あたり13件強の新規有効商談が必要になります。これが現実的かどうかは、自社のファネルにおいて、有効商談を1件生むのに現在どれだけの生の見込み客への接触が必要かに完全に依存しており、それが次のステップです。
有効商談数から、生の見込み客数へ逆算する
接触したすべての見込み客が有効商談に転じるわけではありません。仮に自社が接触先5件に1件を真の有効商談として絞り込んでいるとすれば、月13件の有効商談を維持するには、月あたりおよそ65件の見込み客への接触が必要になります。これも一般的なベンチマークではなく、自社のファネル固有の数字であり、現在のプロスペクティング活動が実際に何を生み出しているかと照らし合わせる価値のある数字です。
計画が破綻しがちな箇所
この演習を正直に行った企業の多くは、次の三つのうちいずれかに行き当たります。目標設定時に想定していた受注率が楽観的すぎた、必要なプロスペクティングの量が現在の体制で現実的に生み出せる水準を大きく上回っている、あるいは目標設定時に用いた平均受注額が実際に売れているものと一致していない、のいずれかです。いずれの場合も、見直すべきは当初の目標であり、単に全員がもっと努力すべきということではありません。
必要な量が非現実的に見える場合の対処
算数の結果、必要な月あたりの有効商談数が、現在の活動量や人員で現実的に生み出せる水準を上回っているなら、正直な選択肢は多くありません。達成期限を延ばす、プロスペクティング体制を増強する、必要な商談数を減らすために受注率を改善する、あるいはターゲティングや価格設定の見直しによって平均受注額を引き上げるのいずれかです。これらのてこを何も変えずに、努力だけで非現実的な数字を達成しようとすることが、全員が懸命に働いているにもかかわらず目標未達に終わる最も多い原因です。
自社がどの課題に該当するかまだ判断がつかない場合は、Sales Help for Founders & Business Ownersのセクションで、活発に見えるのに成約しないパイプラインという関連する症状を、この記事とあわせて確認してください。
よくあるご質問
自社の受注率が正確に分からない場合はどうすればよいですか。
まずは直近12か月の真に有効な商談――単なる問い合わせではなく、予算のある実在の意思決定プロセスに提案を提出した案件――を数え、そのうち何件が受注に至ったかを確認してください。精密である必要はありません。数字を確認せずに想定するよりは、大まかな数字でも把握するほうがはるかに有用です。
この計算には粗利ではなく売上高を使うべきですか。
どちらでも構いませんが、一貫させてください。案件によって利益率の差が大きい会社であれば、売上高ではなく粗利ベースで計算するほうが、売上目標ではなく利益目標を達成するために本当に必要なパイプライン量をより正直に把握できます。
この手法は、年間に少数の大型案件しか扱わない企業にも当てはまりますか。
論理自体は当てはまりますが、件数が少ないぶん各入力値への感応度が高くなります。年間6件しか成約しない企業で1件を失うことは、取扱件数の多い企業に比べてはるかに大きな振れ幅になります。結果として得られる商談数は、固定の年間目標としてではなく、四半期ごとに見直すべき指標として扱ってください。
目標そのものではなく、プロスペクティングの体制が制約になっている場合はどうすればよいですか。
その場合、正直な選択肢は目標の達成期限を延ばす、プロスペクティング体制を増強する、あるいは現在の体制に見合った低い目標を受け入れることです。これは最終四半期になって不足を発見するのではなく、あらかじめ意図的に判断しておく価値のある決定です。
この計算はどのくらいの頻度で見直すべきですか。
ほとんどのオーナー経営型B2B企業にとっては四半期ごとで十分です。実際の受注率と受注額が想定通りに推移しているかを確認する時間を確保しつつ、想定通りでなかった場合に活動を調整するだけの余裕を年内に残しておけます。
