営業管理と可視化
経営者が見るべき営業ダッシュボードには何を載せるべきか
使えるダッシュボードは1枚に収まり、「今期の目標に届くのか」という一つの問いに答えます。
結論
オーナー経営の会社に必要なダッシュボードは、1枚に5〜6個の数字が載っているだけで十分です。新規問い合わせ数、見積提出数、受注数、平均受注額、営業サイクルの長さ、そして今期中に成約が見込まれるパイプラインの総額です。それ以外の詳細情報は、これらの数字が動いたときに掘り下げて確認すればよいものです。1分以内に全体を読み切れないなら、それはもはやダッシュボードではなく報告書であり、報告書は誰も見なくなります。
ダッシュボードについて相談を受けるオーナー経営の会社は、たいてい既に何らかのものを持っています。CRMのレポートであったり、書き出したスプレッドシートであったり、十数個のグラフが並ぶシステム出力の要約であったりします。問題はデータが足りないことではありません。今月が良いのか悪いのか、誰も一目で判断できないことです。
見て判断するまでに解釈が必要なダッシュボードは、役目を果たしていません。良いダッシュボードかどうかの試験は、会議の間の2分間でオーナーがそれを見て、次に何をすべきか分かるかどうかです。
このダッシュボードは何のためにあるのか
その存在理由は一つの問いに答えることです。今期の目標に到達できそうか、できないならどこにギャップがあるのか。ページに載せるすべての項目は、この問いに応えるためのものでなければなりません。その問いに直接答えない指標は、毎週見るページではなく、別の深い分析レポートに置くべきものです。
これは取締役会向けの経営情報パッケージとは異なります。取締役会向けの資料は、より長く、より分析的であってもかまいません。しかし現場で毎週使うダッシュボードは意思決定のための道具であり、他人のために毎月作成する書類ではありません。
揃えるべき中核の数字
最低限、次の6つを揃えるべきです。
- 新規問い合わせ数 — 週次または月次で入ってきた本物の商談機会の数。
- 見積・提案の提出数 — その問い合わせのうち、価格提示の提案に進んだ件数。
- 受注数 — 実際に成約に至った件数と、その金額。
- 平均受注額 — 受注件数の変化と受注単価の変化を混同しないため。
- 営業サイクルの長さ — 問い合わせから受注までにかかっている、おおよその期間。
- 今期見込みのパイプライン — 現時点で今期中に成約する見込みのある商談の総額。
総数より比率が語ることの方が多い
問い合わせ件数が伸びていても、同時に見積から受注への転換率が下がっていれば、それは案件の質が落ちている合図であることが多く、単純に喜べる話ではありません。ダッシュボードは数字そのものだけでなく、数字と数字の比率も示すべきです。問い合わせから見積への率、見積から受注への率、そして新規顧客と既存顧客の比率です。
総数だけを見ていると、本当の変化が見えなくなります。何にでも見積を出す会社は、見積件数は健全に見えても、受注率が静かに半減していることがあります。比率こそが、3か月後に業績として現れる前に変化を教えてくれるものです。
載せなくてよいもの
架電件数やメール送信数といった活動量の指標は、活動量そのものが判明している問題でない限り、担当者本人の週次レビューに置くべきもので、経営者が見るダッシュボードには載せません。段階別の詳細なパイプライン内訳、案件ごとの流入経路の分析、個別顧客の履歴はいずれも見る価値のある情報ですが、最初に確認する1枚のページには含めません。
有効なテストの仕方
- ダッシュボードを実際にA4用紙1枚に印刷してみてください。フォントを縮小しなければ収まらないなら、その中に載せる必要のないものがあるということです。
新しいソフトを導入せずに作る方法
既にCRMを導入している場合、これらの大半は保存済みレポートや週次で更新するシンプルな出力で取得できます。スプレッドシートで運用している場合も、この6つの数字を毎週金曜に手作業で更新する1タブがあれば、ある規模までの会社には十分機能します。ツールそのものより、更新を続ける規律の方が重要です。
陥りやすい誤りは、会社が本当に答えを必要としている問いから出発せず、システムが手軽に出せるものを中心にダッシュボードを組み立ててしまうことです。まず問いから始め、そのあとで必要な数字を探すべきであり、順序を逆にしてはいけません。
スプレッドシート運用が限界を迎えるとき
一人がパイプライン全体を頭の中で把握できるうちは、週次の手動更新でも十分機能します。担当者が複数になったり、複数の関係者が絡む商談が数か月にわたって続くようになると、元データを正確に保つこと自体が一つの仕事になり、ダッシュボードは最後に更新した人の記憶ほどの信頼性しか持たなくなります。
この一線を越えたかどうかまだ判断がつかない場合、その判断の基準は本ハブの別記事で詳しく取り上げています。
どの課題に当てはまるかまだ判断がつかない場合は、まずSales Growth Assessmentの案内をご覧いただき、報告体制を変える前に実態を把握することをお勧めします。
外部の目を入れる価値があるとき
ダッシュボードを作ること自体は難しくありません。難しいのは、自社にとって健全な見積転換率がどの程度か、営業サイクルが本当に長いのか単に測り方が悪いのかを見極めることです。ここに第三者の視点が役立ちます。Sales Growth Assessmentは、思い込みではなく実際の数字を見て、その判断を助けるために設計されています。
よくあるご質問
ダッシュボードはどのくらいの頻度で更新すべきですか
多くのオーナー経営の会社にとって週次が適切な頻度です。問題を早期に捉えられるほど頻繁で、雑音にならないほど間隔があります。毎日更新しても見える景色はほとんど変わらず、月次更新では対応が手遅れになります。
売上とパイプラインの活動量、どちらを載せるべきですか
両方載せるべきですが、視覚的に分けてください。売上は数か月前の意思決定の遅行指標であり、問い合わせや見積、パイプラインは今週まだ影響を与えられる先行指標です。ひとつの数字に混ぜてしまうと、どちらに注意を向けるべきかが見えなくなります。
比較できる過去データが十分にない場合はどうすればよいですか
完璧な基準値を待つより、今から正確に記録を取り始めるべきです。誰も信頼していない1年分のデータより、正直に記録した3か月分の週次データの方が傾向を掴むには有用です。長い履歴がなくても、良くなっているか悪くなっているかは見えてきます。
全ての営業担当者に経営者と同じダッシュボードを見せるべきですか
目標達成の責任を負う全員が中核の数字を見られるべきです。透明性は言い訳を生むより行動を改善する傾向があります。個人ごとの詳細なパフォーマンス情報は、この共有ビューの下に置けばよく、置き換える必要はありません。
CRMのダッシュボードはスプレッドシートより常に優れていますか
CRMのデータが一貫して入力されている場合に限られます。それこそ多くの中小企業が実際に苦労している部分です。きちんと管理されたスプレッドシートは、管理の甘いCRMレポートに常に勝ります。ダッシュボードの信頼性は、その数字を支える入力の規律次第だからです。
まず1枚のダッシュボードから
Sales Growth Assessmentでは、あなたの会社の実際の数字をもとに、健全な指標と改善が必要な指標を切り分けます。
