組織構築と採用
マーケティングと営業、どちらを先に採用すべきか?
マーケティングと営業は、異なる課題を解決するための手段です。どちらを採用すべきかは、現在のボトルネックが「需要の不足」か「成約の不足」かによって決まります。
結論から言うと
すでに一定の知名度や紹介があり、商談の機会はあるがそれらを成約に繋げる体制が整っていないなら、営業(セールス)を先に採用してください。一方で、市場での認知度が皆無で、能動的な問い合わせが全く発生していない状態なら、まずはマーケティングを採用して需要を創出すべきです。ただし、もしウェブサイトやデジタル上の存在感が極めて脆弱な場合は、人を雇う前にデジタルインフラを整える方が先決です。どちらの役割も、解決すべき「具体的な課題」を定義してから採用に踏切る必要があります。
この問いへの答えは、しばしば診断結果ではなく、創業者がどちらの機能をより苦手としているか、あるいは信頼していないかによって決まってしまいます。アウトバウンド営業を嫌う人はリードを求めてマーケターを雇い、「ブランド」という言葉に懐疑的な人は営業を雇って直接足で稼がせようとします。どちらの道も成功する可能性はありますが、間違った理由で選べば、1年分の給与を無駄にする結果となります。
マーケティングと営業は同じ問題を解決するための競合手段ではありません。これらは異なる問題を解決するものであり、選ぶべきは「今、ビジネスの成長を阻んでいるのはどの問題か」という事実に基づいた判断です。
マーケティングと営業、それぞれの役割
マーケティングの役割は、認知度を高め、需要を創出し、見込み客の興味を引きつけることです。コンテンツ、ポジショニング、適切なチャネルでの露出を通じて、商談が始まる前の顧客の認識を形成します。
営業の役割は、対人関係と意思決定が求められるプロセスを担うことです。ターゲットを特定し、接触し、案件の妥当性を評価し、反論に対処して契約へと導きます。優れたマーケティングであっても、高度なB2B取引において、人間を介さずに契約を完結させることは稀です。
現状のボトルネックを特定する
採用を検討する前に、2つの数字を確認してください。「毎月何件の商談が始まっているか」と「その後何が起きているか」です。商談の数自体が極めて少ないのであれば、問題は上流のマーケティングにあります。商談はある程度発生しているが、その後停滞したり立ち消えたりしているなら、問題は下流の営業プロセスにあります。
営業を先に採用すべきケース
- すでに紹介や問い合わせが一定数あるが、適切なフォローアップができていない。
- 市場で一定の評判はあるが、興味を商談に変える構造的なプロセスが存在しない。
- 現在は創業者だけが営業を担っており、需要が創業者の可処分時間を超えている。
マーケティングを先に採用すべきケース
- 既存ネットワークの外では全く無名で、アウトバウンドのアプローチが常に無視される。
- 営業担当者はいるが、アプローチすべき質の高い商談候補が不足している。
- 製品の性質上、顧客が購買前に多くの情報を必要とし、信頼性の確立が商談の前提条件となっている。
「どちらも採用しない」が正解のケース
最大の見落としは、デジタルインフラの欠如です。ウェブサイトが何をしている会社か説明できていない、検索しても出てこない、あるいは信頼感を損なうような古いデザインである場合、マーケターを雇ってトラフィックを流しても、営業を雇って顧客に検索されても、結果は同じ「失敗」に終わります。
これは人員の問題ではなく、インフラの問題です。サイトを整え、検索の可視性を確保することは、人を雇うよりも低コストで、その後に採用する誰のパフォーマンスも底上げする賢明な投資となります。
採用の失敗を避けるために
どちらを採用するにせよ、求人票を書く前に「具体的なミッション」を定義してください。営業ならターゲットリストと期待される活動量、マーケティングなら創出すべきリード数や検索順位など、成功の定義が曖昧なままの採用は、半年後の後悔に直結します。
よくあるご質問
優れた営業担当者は、マーケティングなしで自らリードを作れませんか?
ある程度は可能ですが、認知度ゼロの状態からの営業は成約率が著しく低く、サイクルも長期化します。マーケティングの支援があれば、その営業担当者の生産性は格段に向上します。
予算的に1人しか雇えない場合、ジュニアな営業とマーケターどちらが良いですか?
ジュニアな人材は戦略立案ができないため、社内にその方向性を示せる人間がいるかどうかが鍵となります。戦略不在でのジュニア採用は、ただ「忙しく動き回るが数字は変わらない」状態を生み出すリスクが高いです。
判断に迷う場合、副業や外部パートナーで試すのはありですか?
はい、非常に賢明な選択です。フラクショナル(部分的な)リーダーシップを活用することで、多額の固定費を投じる前に、どちらの機能が本当に自社に欠けているかを見極めることができます。
